妊娠中のカフェインは1日何mgまで?
2026年9月20日 公的資料からの引用のみで構成しています
最初に結論
- ・厳しいほうに合わせるなら1日200mgまで
- ・150mlのコーヒーは1杯90mg。200mgは2杯強
- ・カフェインレスはゼロではなく9割以上減。1杯9mg以下
- ・見落としやすいのは玉露。コーヒーの2.7倍
妊娠中にコーヒーを飲むこと自体は禁止されていません。公的機関が示しているのは量の上限です。ただしその上限は、機関によって200mgと300mgに分かれています。どちらを信じればいいのか迷うところなので、まずどの機関が何mgと言っているのかを並べます。
妊娠中の上限は200mgと300mgに分かれている
4つの機関のうち、2つが200mg、2つが300mgを上限としています。
内閣府食品安全委員会のファクトシート「食品中のカフェイン」から、妊婦に関する記述を抜き出しました。
| 機関 | 上限 | コーヒー換算 | 公表年 |
|---|---|---|---|
| 欧州食品安全機関(EFSA) | 200mg | 2杯強 | 2015年 |
| 英国食品基準庁(FSA) | 200mg | 2杯強 | 2008年 |
| 世界保健機関(WHO) | 300mg | 3杯強 | 2016年 |
| カナダ保健省 | 300mg | 3杯強 | 2017年 |
数字が割れているのは、判断のもとにした研究が機関ごとに違うためです。迷ったときは、厳しいほうの200mgを目安にしておけば、どの基準にも収まります。
日本には妊婦向けの上限値がありません
食品安全委員会は、カフェインの一日摂取許容量(ADI)は設定されていないと明記しています。感受性の個人差が大きく、健康への影響を正確に評価することが難しいためです。日本の数字が見つからないのは、探し方が悪いのではなく、もともと存在しないからです。
コーヒー1杯は何mgか
150mlのカップで、コーヒー1杯は90mgです。
上限をmgで言われても、杯数に直さないと使えません。食品安全委員会が示している濃度から換算しました。
| 飲みもの | 100mlあたり | 150ml 1杯 | 200mgまで何杯 |
|---|---|---|---|
| 玉露 | 160mg | 240mg | 1杯で超える |
| コーヒー | 60mg | 90mg | 2杯強 |
| インスタントコーヒー | 57mg | 約86mg | 2杯強 |
| 紅茶 | 30mg | 45mg | 4杯強 |
| せん茶 | 20mg | 30mg | 6杯強 |
| ウーロン茶 | 20mg | 30mg | 6杯強 |
| カフェインレスコーヒー | 6mg以下 | 9mg以下 | 20杯以上 |
カフェインレスの行は、規約の「90パーセント以上除去」から計算した上限値です。実際の残量は製品ごとに違います。
見落としやすいのは玉露です
100mlあたり160mgで、コーヒーの2.7倍あります。コーヒーを控えて日本茶に替えた結果、かえって増えることがあります。同じ緑茶でも、せん茶は20mgで玉露の8分の1です。
妊娠中はカフェインが体から抜けにくい
同じ1杯でも、妊娠中は体内にとどまる時間が長くなります。
食品安全委員会は、WHOの2016年勧告として「妊娠中は母親の血液からのカフェインのクリアランス(消失)が著しく遅くなる」と記載しています。クリアランスとは、体から抜けていく速さのことです。
同じ資料は、過剰摂取が胎児の成長遅延・低体重・早産・死産と関連する可能性が示唆されている、とも書いています。可能性の指摘であって確定した結論ではありませんが、上限が設けられている理由はここにあります。
なお、妊娠初期だけ上限を下げるという記載は、確認した資料のどこにもありませんでした。示されているのは妊娠期間を通した1日あたりの量です。
カフェインレスコーヒーに残っている量
ゼロではありません。基準は「90パーセント以上除去」です。
「カフェインレスコーヒー」「デカフェ」と表示できる条件は、全日本コーヒー公正取引協議会の公正競争規約で決まっています。
カフェインを90パーセント以上除去したコーヒーにあっては、「カフェインレスコーヒー」、「デカフェネィテッドコーヒー」等と表示する。レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約(2024年10月1日)
除去率が9割ちょうどの製品なら、残りの1割は入っている計算です。150mlで90mgのコーヒーなら、9mgまでは残りうることになります。ふつうのコーヒー1杯の10分の1です。
実際の残量は製品ごとに違い、公的機関がまとめた数値はありません。ゼロと考えずに、合計へ少しだけ足しておくのが安全です。
完全に避けたいときはノンカフェインを選ぶ
デカフェはコーヒーからカフェインを取り除いたもの、ノンカフェインはもともと含まない原料で作ったものです。麦茶・ルイボスティー・たんぽぽ茶などがノンカフェインにあたります。
授乳中の基準は1回あたりにも上限がある
EFSAは授乳中について、1回200mg以下かつ1日200mg以下としています。
1回あたりの量にも上限がついている点が、妊娠中の基準と違います。1日の合計が同じでも、一度にまとめて飲む形は想定されていません。カナダ保健省は、授乳婦も妊婦と同じ300mgを示しています。
自分の1日を計算してみる
飲んだものを足すだけです。200mgを超えなければ、どの基準にも収まります。
計算例:よくある1日
- 朝 コーヒー150ml 90mg
- 昼 紅茶150ml 45mg
- 夜 カフェインレス150ml 9mg以下
- 合計 144mg以下 → 200mgの範囲内
朝のコーヒーをもう1杯足すと234mgになり、200mgを超えます。その1杯をカフェインレスに替えれば153mg以下におさまります。
よくある質問
カフェインレスコーヒーは妊婦が飲んでも大丈夫ですか?
カフェインの量で見れば、ふつうのコーヒーより負担は小さくなります。表示のもとになる規約は「90パーセント以上除去」なので、残るのは最大でも1割です。150mlで90mgのコーヒーなら9mg以下におさまります。
妊娠中のカフェインは1日どのくらいまでですか?
厳しいほうに合わせるなら1日200mgです。EFSAと英国FSAが200mg、WHOとカナダ保健省が300mgとしています。150mlのカップのコーヒーは1杯90mgなので、200mgは2杯強にあたります。
カフェインレスコーヒーは1日何杯まで飲めますか?
1杯9mg以下として計算すると、200mgの範囲なら20杯を超える計算になります。現実的には杯数より、ほかの飲みものと合計した量を見るほうが大事です。玉露や紅茶を足すと合計は一気に増えます。
妊娠初期はとくに気をつけるべきですか?
公的資料に、妊娠初期だけ上限を下げるという記載はありません。示されているのは妊娠期間を通した1日あたりの量です。ただし妊娠中は体からカフェインが抜けにくくなるため、同じ1杯でも影響が長く続きます。
妊娠に気づく前にコーヒーを飲んでいました。
気づいた時点から量を調整すれば足ります。食品安全委員会は、カフェインの一日摂取許容量(ADI)は設定されていないと明記しています。感受性の個人差が大きく、正確な評価が難しいためです。
カフェインレスは意味がないと聞きました。
9割以上減らせるので、摂取量を抑える目的では意味があります。意味がないと言われるのは、ゼロだと思って飲むと合計の計算から抜け落ちるためです。ゼロではなく9割減と理解しておけば計算に組み込めます。
デカフェとノンカフェインは何が違いますか?
デカフェはコーヒーからカフェインを取り除いたもの、ノンカフェインはもともと含まない原料で作ったものです。麦茶やルイボスティーがノンカフェインにあたります。完全に避けたいときはノンカフェインを選びます。
カフェインレスコーヒーは体に悪いのですか?
食品安全委員会の資料に、カフェインレスコーヒーが健康に悪いという記述はありません。日本で売られている製品は食品表示のルールのもとで製造されています。製法が気になる場合はパッケージの記載を確認してください。
この記事で使った資料
- 内閣府 食品安全委員会「ファクトシート 食品中のカフェイン」(最終更新 平成30年2月23日)
https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf - 全日本コーヒー公正取引協議会「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約」(2024年10月1日)
https://www.ajcft.org/agreement/20241001_agreement.pdf
数値はすべてこの2つの資料から写しています。記事のために推計した数字は使っていません。カフェインレスの残量だけは、規約の「90パーセント以上除去」から計算した上限値です。
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